古代の風  パンの文化をさかのぼる(舟田先生 講演会)

私の愛読書の一冊に「パンの文化史」があります。
著者の舟田詠子先生は、食文化の研究家で特にパンの歴史、文化に詳しい方です。
今回、知人のイタリア旅行の話に触発され、改めて読み直してみました。
人が麦を食べ始めたのは、7~8000年も昔々のこと
5~6000年程前にはすでに発酵パンが食べられていたといいますから 人と酵母の付き合いだって相当なもんです。
本には古代エジプト、古代ギリシャで行われていたパン作りがローマに伝播し,大規模設備、大量生産の幕開けになった過程が記されています。
ポンペイ遺跡には大型の製粉機やパン窯の跡があり、ナポリ考古学博物館には出土したパンの実物があるそうです。
パン窯は今のヨーロッパの石窯と構造も使用法も同じで、パンも発酵させた様々な種類のものがあるのだとか。
舟田先生は、現代と大差ないパン窯、パン焼き技術がローマ帝国時代に一応の完成を見た ― としています。

舟田先生の講演会に参加させていただく機会があり直接お話を伺うことでますます興味が深まりました。
地道な現地調査と膨大な文献を元に、歴史、地理、経済、文学、芸術、民俗、宗教、、、様々な観点から人間の生活や食物について解き明かしてくれます。
先生は、講演でご自分の研究をこう締めくくりました。
「私達が今食べているものの中に、古代の人間の心のありよう、文化、社会の姿が含まれ、引き継がれています。」
「食べ物は古代を記憶している、食文化を研究していて面白いのはそういうところ」

私達は、あまりにもたくさんの物や情報に囲まれすぎているのかもしれません。
人が生きるとか暮らすことの本質は案外シンプルなのでしょうか。
連綿と営まれてきた人類の歴史の大きな流れ。
私もまた その一番後ろにくっついて古代人と同じようにパンを焼く小さな1人です。
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現在のポンペイ遺跡 古代ローマの繁栄を物語る 30軒以上のパン屋が発掘されている

講演の内容 パンのガイド 清水美穂子さんの記事でご覧ください。